04年サバ類
単位:数量,1000トン、価格,円/kg
漁獲と資源
16年のサバ類(マサバとゴマサバ)の漁獲量は、33.5万トンでほぼ前年(32.9万トン)並みであったが、近年の平均(50万トン)を依然下回る低水準の漁獲であった。
これは、北部太平洋海域と東シナ海での漁獲が前年をやや上回り、薩南や太平洋中部海域、山陰海域で前年をやや下回る漁獲であったことによるものである。
マサバ太平洋系群の資源は依然低水準であるといわれている。特に1996年に卓越年級群が発生したものの、0,1歳魚の多獲により産卵親魚は回復しなかった。そして2002年の産卵親魚も過去30年で最低の水準であるが、その年の加入量は比較的多く,2003年の産卵親魚は若干増加した。
また、対馬暖流系群の資源は、90年代に入って増加したが、97年以降加入量は減少し2002〜2003年には更に低い値が出ている。また、97年以降は96年を頂点に産卵親魚も減少し、現在は横ばい傾向にある。
何れにしても両系群とも資源水準は低位であるため、産卵親魚の保護や漁獲年齢の引き上げが望ましいとされている。
近年安定している太平洋系群のゴマサバの資源は1996年が卓越年級群で最も大きかったがそれ以降やや減少している。しかし加入量も多く資源は安定しているが2003年の加入は少なかった。現在の資源の水準は中位横ばいであり、横ばいの方向にある。また東シナ海系群のゴマサバの資源は、1992〜2003年まで比較的安定しており、中位の水準で横ばい傾向にある。
産地水揚量と価格(継続漁港)
16年の産地水揚量は、23.7万トンで山陰海域での大幅な漁獲減少を反映し前年(25.4万トン)をやや下回った。
価格は、95円で前年(79円)をかなり上回った。
これは、三陸常磐海域で夏場から秋口にかけて型の良いマサバの漁獲が比較的長く続いたことを反映したものである。
海域別漁獲量
本年の海域別漁獲量の特徴は、下表の通り低位ながらも三陸、常磐での増加が昨年に続いて際だっており、近年の主力である東シナ海でもやや増加したが、山陰では大幅な減少がみられた。東海海域(太平洋中部海域)では依然ゴマサバ主体であったが漁獲は減少した。
海域別漁獲量
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三 陸
本年の三陸の漁は、北上期は若干の漁獲、南下期は前年を上回る漁であった。
6月頃から定置網に入網がみられ始め、昨年同様8月上旬に三陸南部でまき網によるサバの初漁があり、9月、10月にかけてまとまり比較的好漁がみられた。本年も7月中旬からスルメイカの漁獲が始まり9月まで続いた。
魚体は、8、9月には2歳魚(2002年級群)、3歳魚(2003年級群)も数割程度みられ、それに1歳魚(2003年級群)であり、本年は近年では型が大きいマサバの漁獲も目立った。
また、本年のブリ(イナダ、ワカシ)の漁獲が8月下旬から9月主体に10月までにまとまってみられ、漁獲は悪かった前年大きく上回る好漁となった。
常 磐
本年は昨年とは違って越冬サバの時期にやや好調で昨年を上回った、結局越冬寒サバは6.5千トンで前年(5.1千トン)を上回った。
しかし、春(5〜7月期)の漁獲は5.8千トンで極めて悪かった前年(5.8千トン)並みとなった、南下群の漁獲は24千トンでほぼ前年(24.7千トン)並みで、年間を通じても前年をやや上回った。なお、本年も11月以降にブリ類(イナダ)の漁獲がみられたが、昨年を大幅に下回り、不振であった。
魚体は、越冬期、北上期には1歳魚(2003級群)、南下期には当歳魚、1歳魚主体に、2歳魚、3歳魚の混じりも多くみられた。
北部太平洋海域では、本年もゴマサバの混獲が多かった。
東 海
伊豆諸島周辺を主漁場として、主に産卵群を対象とするサバタモ抄い漁業は、54年の17.7万トンをピークに減少しており、近年は1万トン以下の低調な漁獲が続き、操業隻数も往時に比べ大幅に減少している。
16年の漁獲量(棒受け含む)は、マサバが102トンでやや漁獲があった前年(45トン)を上回り、ゴマサバが13,939トン(前年11,862トン)でマサバが僅かながら倍増、ゴマサバも増加した。
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東 シ ナ 海
16年の漁況は、年明け後の冬漁は前年来の低調な漁を反映し前年を下回る水揚げとなった。また夏場の漁は例年通り夏枯れを呈しほぼ昨年同様低調であった。その後の秋漁は昨年同様9月以降まとまり始め、冬場の盛漁期は昨年を大きく上回る漁で水揚げも伸びた。したがって年間の水揚量も後半の挽回もあり前年をやや上回る低水準であった。
魚体は、本年も概ね300g以下のギリ、ローソクサバ(0、1歳魚)が漁獲の主体で約66%であったが、前年 (69%前後)より少なく、小サバの増加が顕著であった。
山 陰
この海域では、閑漁期の夏場を除いて年明け後の漁、秋漁とも前年を下回る低調さであった。
本年の漁況の経過は、年明け後の漁は前年を大きく下回る低調さで推移したが、その後の梅雨期から夏場にやや漁が出た。しかし夏場以降の秋漁は、昨年をやや下回って推移した。
魚体は、上半期は2002年級群主体に、後半には2003年級群が主体であった。
輸 入 本年の輸入量は、10.1万トンで、前年(12.9万トン)を下回った。これは主にノルウェー現地の漁獲枠減少を反映したものである。本年も搬入のピークは11、12月であったが、この月のシェアは少なくなっている。 主要な輸入国は本年も依然ノルウェーが84%と高いシェアを誇っており、ほぼ一極集中化している現実に変化はない。また、それ以外では各国とも概ね減少しており、アイルランドが3477トン(前年6508トン)、カナダが3018トン(前年3859トン)、イギリスからは2433トン(前年5933トン強)、中国が2022トン(前年1735トン)で、唯一中国が伸びてきている。 本年のノルウェーからの輸入原料は600サイズ以下が68%(前年: 63%)主体に600UPが32%(前年:37%)で、600UPが引続き前年より減少、4-6サイズの増加となっている。また従来からの日本向けの4-6サイズはまだ日本の買値がリードする場面が多いが、600gUPについては、ロシアを始めとした東欧諸国等との競合関係が続いている。 価格は、199円で前年(156円)をかなり上回ったが、ノルウェー現地市況の高騰を反映したものである。 また、中国、タイ等海外加工が依然活発にみられ、製品輸入も多くなっており、本年も9千トン超で年々50%程度の増加がみられている。 輸 出 本年の輸出量は、25.7千トンで前年(6.5千トン)の4倍となった。これは九州等のサバが韓国、パプアニューギニア、フィリピン、タイ、中国等に大きく伸びたことによるものである。また、缶詰輸出は2.1千トンと史上最低の水準で再度前年(5.3千トン)を大きく下回った。
在 庫 量 在庫量は、7.5万トンと前年(8.6万トン)をやや下回った。 これは、輸入量の減少がかなり影響していることと、北部太平洋海域での魚体の大きいサバが鮮魚に出回ったためである。 消費地入荷量と価格 16年の消費地入荷量(10大都市)は、ほぼ前年並みの漁獲の割には産地での型が大きかったことを反映し、生鮮5万トンと前年(4.7万トン)を上回った。 |
また、冷凍は1.9万トン(前年1.9万トン)、塩干5.5千トン(前年4.5千トン)、塩蔵1.3万トン(前年1.3万トン)と何れも大きな増減はなかったが、塩干品のみ増加傾向がみられた。 価格は、生鮮327円(前年343円)、冷凍351円(前年313円)、塩干410円(前年487円)、塩蔵461円(前年469円)であった。 価格は、輸入原魚価格が上昇した結果冷凍物(総菜物原料)が上げたが、製品である塩蔵(塩フィレーや切り身、塩サバで利用)が横ばい、塩干の下落が目立った。 また、本年も消費地市場、末端のスーパー・量販店では、国内漁況を反映し、ゴマサバのフィレーや切り身の販売が目立ったが、消費支出が金額、数量とも増加した。 |